2015年1月19日月曜日

Little Birds

主演のジュノー・テンプルのファンなので前から観たいと思っていた映画です。
2011年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、その後2012年にアメリカで公開されました。
日本未公開。
 

Little Birds(2011)
監督:エルジン・ジェイムズ
出演:ジュノー・テンプル、ケイ・パナベイカー、レスリー・マン、ケイト・ボスワース
 

あらすじ



カリフォルニアの田舎町に住む15才のリリー(ジュノー・テンプル)とアリソン(ケイ・パナベイカー)の二人は親友ですが性格は正反対。リリーは反抗的で危ういところがあり、母親のマーガレット(レスリー・マン)にも反抗的な態度をとります。一方アリソンは大人しく真面目な性格で、酒浸りの父親と二人暮らしです。



ある日二人はLAから来ていた男の子達と出会います。リリーはそのうちの一人であるジェシー(カイル・ガルナー)と惹かれあい、彼らが帰る時にキスを交わして電話番号を教えてもらいます。町を出たがっていたリリーはLAに行こうとアリソンをけしかけ、初めは反対していたアリソンもリリーを放っておくことが出来ずLAに行くことを決めます。



LAに着いてジェシー達と合流した二人でしたが、彼らに馴染もうとして開放的になるリリーに対し、真面目なアリソンは居心地の悪さを感じています。そんな中彼らのうちの一人がネットのデートサイトで男を引っ掛け、リリーをおとりにしてお金を盗むことを提案します。ジェシーは反対しますが最終的に説得され、彼に好意を持っているリリーも同意します。



弾の入っていない銃で男を脅すことで計画は成功しますが、ここにいては危険だと感じたアリソンは一緒に帰ろうとリリーを説得します。しかしリリーは耳を貸さず・・・。


感想

まずこの映画なんですが、予告だけは結構前から観ていて。この予告が過去ベスト級に素晴らしかったので期待値はかなり上がっていました。



この中の、リリーがバスタブの水の中で叫んだり、列車が来るのに線路に立っているシーンに主人公の危うさが表れていて。画の美しさや音楽(Haley Bonarの「Candy Machine Gun」と「Sad Baby」)も好みドストライクです。

そんな中やっと本編を観たのですが、結論から言うとかなり良かったです。
映像の美しさ、主役二人の演技。ストーリー自体は「自分を取り巻く環境に不満を持っていてそこから逃げようとする」という青春映画としては良くあるシンプルなストーリーですが、思春期の壊れやすい心や友情関係が良く描かれていました。
 
ただ、うーん。と思った点もあって。

まず、ジュノー・テンプル演じるリリーが全然魅力的じゃないんですよね。。
ジュノー・テンプル自体の演技は素晴らしいんですけど。

このキャラクターに一番イラッときたのはアリソンに対する態度。どこまでも優しいアリソンに対しての態度が酷い。
ジェシー達と再会した後リリーは、彼らと馴染もうとしないアリソンに対してイラつく訳ですね。
それで彼らがアリソンをバカにした時に一緒になって笑ったり、わざと彼女が傷つくようなことを言うんですよ。

リリーの気持ちも分かるんですよ。
特に思春期だとこういったことはよくあると思います。自分がイケてる人達と上手くやろうとしてるのに、馴染めてない昔からの友達が邪魔に思えるというか。
でも周りが見えていないだけなんですよね。
ほんとに彼女のこと思っているのはアリソンな訳で。
本編中にも何回か似たような台詞が出てきますが、結局「違うところに行けば解決する、という訳じゃない」ってことです。

だから途中まではイラつきながらも、このリリーの脆さに共感できていたんです。
・・・が、ラストがちょっとなあ。

以下ちょっとネタばれになります。(反転)


その後アリソンは頑張ってリリーを説得しようとしますが、結局リリーは言うことを聞かずアリソンだけ帰ることになります。
一方リリー達は再び、デートサイトに引っかかった男を騙してお金を強奪しようとしますがこの男がちょっとヤバイ人で、銃に弾が入っていないことがバレてジェシー達は殴られてしまいます。そしてそれに怯えたジェシー達はリリーを置いて逃げてしまいます。
その後リリーは男に襲われそうになり、もうダメだ、、となったところでアリソンが現れ、背後から男を撃ってリリーを助けます。
アリソンは結局リリーを見捨てることが出来ずに戻ってきたんですね。

・・・いやアリソン天使過ぎでしょ!リリーのために殺人(多分)まで犯してしまうとは。
この映画の終わらせ方として適切な選択肢とは思えませんでした。
アリソンが帰るところで終わらせるか、最後にリリーが本当に自分にとって大切な存在は誰なのか気づくような場面を入れた方が良かったんじゃないかなあ。


と、この点が結構引っかかってるんですが、つまり、ジュノー・テンプル映画じゃなくてケイ・パナベイカー映画だったってことです。

地味な作風で、賞を取ったりもしていないので日本公開は無いでしょうが、DVDだけでも出てくれたら嬉しいです。